BCIN - NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

VOICE 患者の声

乳房造影MRIとMRIガイド下生検で早期に診断! 全国で乳房造影MRIとMRIガイド下生検をセットで受けられる環境を整えて欲しいです。 Y.Mさん(30代)
2014年に姉が乳がんを発症したことがきっかけで姉の付き添いで初めて大学病院の乳腺外科を受診しました。
その際初めて、母と叔母が卵巣がんを発症していた経緯から、私もHBOCである可能性が高いと伝えられました。
当時アンジェリーナジョリーさんのニュースが大きく取り上げられていて、聞いたことはあったものの、まさか自分にもその可能性があるとは思っておらず、驚きと同時に今後の不安もあり、検査を受けるか悩んだりしました。
しかし、先に検査を受けた姉がBRCA1に病的バリアントがあった事から自分も検査をきちんと受けてハッキリさせたい。
もし自分も陽性であったとしても、自分の体質を知り、正しく検査を受ければ怖い事ばかりではないのではと考え2015年、遺伝学的検査を受けました。
検査の結果、姉と同じBRCA1に病的バリアントがある事がわかり、リスク低減手術の選択肢もありましたが、高額だったため、年に1度、サーベイランスを受ける道を選びました。
地元で検査を受けようと思いましたが、当時、専門的にフォローしていただける病院は私の住む県にはなく、さまざまなことを考慮した結果、東京に通うことを決めました。
サーベイランスを受け続ける事は、大変なこともありました。多くの方に支えていただき、フォローしていただけたからこそ、途中でめげずに検査を受け続ける事ができました。
そして検査を受け続けて7年目に、乳房造影MRI検査で1cmに満たないサイズの腫瘍が見つかりました。結果を聞いたときは「ついにこの時が来たのか」という気持ちや、今後への不安などいろいろな気持ちで、頭の中がぐちゃぐちゃになった事を今もよく覚えています。
その後、私はエコーでははっきりと映らなかったため、MRIガイド下生検にて精密検査を受け、その結果左乳房にトリプルネガティブの乳がんがある事がわかり、すぐに手術の日程が決まりました。
入院は10日間、早期発見でリンパ節への転移もなかったので、追加治療の必要もなく、
現在は半年に1度の検査と診察を受けるのみで過ごしています。
ここからは、私が実際に乳房造影MRI検査とその後のMRIガイド下生検を受けて、よかった点と大変だった事についてお話していきます。
まず、よかった点ですが、なによりも早期発見につながった事です。
私の場合、癌と診断されたときはまだエコーやマンモグラフィー検査では写らず、MRIでの検査を受けていたからこそ見つけていただく事が出来ました。
早期に見つかったことで、実際どのような治療を受けていくのか、ある程度自分で選択することもできました。私には部分切除にとどめる道もありましたが、とにかく今後の再発リスクを最小限に抑えたいと思っていましたので、左側の乳房全摘出に加え右側のリスク低減手術を受ける選択をしました。
また、追加治療が必要なかった点も大きなポイントです。
追加治療の有無は副作用や通院など、その後の生活にも大きく影響します。私は追加治療がなかったので、退院して1週間後には職場に復帰することができましたし、結果的には早期発見により経済的な負担を抑えることができました。
そして、個人差もありますが私の場合乳腺の濃度が高くもともとマンモグラフィー検査が白く映りやすい体質でしたので、MRIでしっかり診ていただけた事は、「今回も大丈夫だった」という安心感につながっていました。
また、マンモグラフィー検査で痛みを感じる方もいらっしゃると思いますが、MRIでは検査は痛みもなく、そういったストレスなく検査を受ける事ができる点も良かった点と言えます。
MRIガイド下生検についても、事前のMRI画像に合わせピンポイントで組織を取ることができ、痛みなどは個人差もありますが、より正確な位置で安心して組織検査を受ける事ができました。
もちろん早期に発見できることが一番のメリットですが、それ以外にも検査を受ける側にも様々なメリットがあるのです。
逆に大変だった点についてですが、まず未発症の場合、保険適応外であり検査費用の負担が大きい点です。私の場合、研究に参加させていただいていたので、補助もありましたがやはり保険がきかない点は、回数を重ねていけばいくほど大きな負担に繋がっていきます。
また、MRIでのサーベイランスやその後のMRIガイド下生検を実施している医療施設がまだまだ少ない事も大変だった点の一つです。
私のように対応できる医療施設がない地域に住んでいる人は、検査費用に合わせて交通費や宿泊費がかかり、さらに大きな負担になります。
そして、もし生検が必要となった場合、MRIガイド下生検を行っている医療機関は更に少なくなります。
私の場合は、ありがたいことにいままで見ていただいていた先生に診ていただく事ができましたが、病院によっては、後日の再検査という形になる場合もあるようです。
MRIで発見されてもMRIガイド下生検を受けられなければ、すぐに治療に移れず、とてももったいないと思います。
私自身、現在2020年4月以降乳がんの既発症でHBOCの診断があれば、リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険適応となりましたので、40歳を過ぎたらRRSOを受ける予定にしています。
それまでの間は半年に1度超音波と腫瘍マーカーでのサーベイランスを受けていく予定ですが、現在こういった、サーベイランスやリスク低減術を健康保険を利用して行うことのできるのは、あくまでも乳がんや卵巣がんにすでにかかった事のある人だけです。
しかし、早期に発見するためには、未発症でもリスクの高い方にはきちんとしたサーベイランスを受け続ける事が自身の経験からとても大切だと思っています。
今後、未発症の方が継続的にサーベイランスを受け、もしもの際に早期で治療を受けるためにもぜひ、健康保険の利用などすこしでも負担や不安が減る仕組みができていってほしいと強く思っています。
また、できるだけ多くの地域・医療施設で乳房造影MRIやMRIガイド下生検を受けられる環境が増えていっていただけたらと思います。
私自身、地元には受けられる医療機関がなく長年「もっと近くで受けられたらな」と思ってきましたし、私の周りにも遺伝学的検査やそういった検診を受けてみたい、興味があるという人もいるのですが、やはり身近に受けられる専門の外来などがなく、なかなか一歩を踏み出せない方が多くいます。
今後検査を受けられる環境が増える事でそういった方が少しでも検査を受ける一歩を踏み出せたらと思います。
また、MRIでのみ発見できる段階で見つかった場合にセットでMRIガイド下生検を受け早期に治療に移れる環境も増えていってほしいと思います。
有効な検査を正しく受け続ける事で同じ遺伝子の変異で乳がんを発症してもゴールは大きく違うものになりました。ぜひ、多くの方に検査を受けていただき、早期に発見することで早く元気に過ごすことができるということを感じていただけていたら幸いです。