我が国において、現在、女性の乳癌発症率は16人に1人と言われており、年々増加傾向にあります。近年、欧米での乳癌の罹患数は増加傾向にありますが死亡率は低下しています。一方、日本では罹患数、死亡数ともに上昇している状況にあり、平成16年以降は年間約1万人以上が乳癌で亡くなっており、その対策が急務となっています。
平成19年6月に策定された「がん対策推進基本計画」では、個別目標の1つとしてがん検診の受診率を50%以上とすることが掲げられましたが、平成22年度の乳がん検診率は約25%にとどまっている状況となっています。 乳癌の診断・治療においては、治療成績向上の為、早期発見、早期治療が重要であり、画像診断医による乳腺画像診断と、乳腺外科医、腫瘍内科医による治療を柱として、画像診断医、乳腺外科医、技師等の医療関係者との適切な連携が求められているところであります。
最近の課題としては、早期発見の為の診断においては、画像診断拠点施設とそれ以外の施設での情報に関する格差が発生していること、また、患者や一般市民の立場からは、情報の氾濫により、乳がん検診、精密検査及び治療に対する適切な情報を得られないことにより社会に対して適切かつ正確な情報発信をしていくことが、これまで以上に必要な状況となっています。 私どもといたしましても、現在まで、乳癌早期発見・治療に資する画像診断研究への取り組み、論文及び書籍の執筆、一般の方に向けた情報発信、啓発活動等に積極的に取り組んで参りました。
しかしながら、そのような活動に関連する費用は高額であり、任意団体としての活動では経済的、事務的な負担が重く、今後の活動について限界を認識するところであります。このような活動を行うにあたり、公正で透明性が高い運営を行い、社会的信用を得て活動を更に展開していくためには特定非営利活動法人としての法人化が急務であると考えています。乳がん画像診断ネットワークは事業目的が営利を目的としておりませんので、特定非営利活動法人としての設立が望ましいと考えています。